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No.502 2015/02/03~2015/02/09掲載
言語一般 日本語の構造 音声・音韻体系

次の文章を読み,各問いに答えよ。

【連濁】

青(アオ)+空(ソラ) → 青空(アオゾラ) 

夜(ヨ)+霧(キリ) → 夜霧(ヨギリ)

海(ウミ)+亀(カメ) → 海亀(ウミガメ)

 語と語を組み合わせて複合語を作った時に,後部要素の最初の清音が濁音化する現象を連濁という。この現象は広く観察されるが,全ての複合語で起こるわけではない。どのような時に連濁が起こりにくいかを観察してみるといくつかの法則性が見出される。

(a)中古(チュウコ)+メラ → 中古メラ(チュウコカメラ)

   デジタル+メラ → デジタルメラ(デジタルカメラ)

   バースデー・ーキ,ウェディング・ーキ,抹茶ーキ

(b)二枚貝(ニマイイ)-懇親会(コンシンイ)

   幼子(オサナ)-阿寒湖(アカン

(a)の例は,後部要素が和語(「亀(カメ)」)の場合は連濁が起きているが,カメラ,ケーキなどの外来語では連濁は起きていない。A一般に外来語は連濁が起きにくいが,ごく一部で連濁を起こす外来語もある。これらは日本語に深く入り込んで,外来語としての意識が薄れたものと考えられる。

(b)の例は,和語と同じ音で読む漢語の例である。漢語も和語に比べると連濁しにくい傾向にあると考えられる。B同じ漢字でも訓読み,音読みで大きく異なるようである

 このように語種による制限以外に,後部要素に濁音がある場合は連濁が起きないという現象も確認される。これは「ライマンの法則」と呼ばれるもので,以下のようなものである。

(c)大(オオ)+風(カ) → 大風(オオゼ)

  cf 大(オオ)+空(ソラ) → 大空(オオラ)

 このライマンの法則は,C濁音に一定の縄張りがあり,その縄張りの中に既に濁音がある場合新たな濁音が阻止されることを意味するが,この法則は後部要素だけでなく,前部要素も関わることがある。すなわち,D前部要素の最後に濁音があれば,後部要素に濁音がなくても連濁しにくい傾向がみられる

問1)文章中の下線部A「ごく一部で連濁を起こす外来語」の例として最も適当なものを選べ。

  1. タバコ
  2. カルテ
  3. カイロ
  4. カルタ

問2)文章中の下線部B「同じ漢字でも訓読み,音読みで大きく異なる」の例として最も適当なものを選べ。

  1. 土木-樹木
  2. 絵本-文庫本
  3. 引き戸-門戸
  4. 男性-根性

問3)文章中の下線部Cのような音声に関する現象を何というか。最も適当なものを選べ。

  1. 同化
  2. 異化
  3. 変化
  4. 退化

問4)文章中の下線部D「前部要素の最後に濁音があれば,後部要素に濁音がなくても連濁しにくい」について述べたもののうち最も適当なものを選べ。

  1. 「島田」は連濁するが,「柴田」は前部要素の最後が濁音であるため連濁していない。
  2. 「溝口」「長淵」など,前部要素の最後に濁音がある場合でも連濁するものがある。
  3. 「高田」は,「たかた」「たかだ」の両方の読み方があるのはこの原則に基づく。
  4. 「今田」「山田」など,前部要素の最後が有声音であるため連濁していない。

 

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【解答】
 
問1) 4
問2) 3
問3) 2
問4) 1
 
 
【解説】

問1)

4「いろは」を頭に付けると「いろはがるた」と連濁する。「伊呂波歌留多」など漢字表記されることもある。他に「歌がるた」「花がるた(花札)」など。

問2)

1は「ボク」も「モク」もともに音読み。連濁とは無関係のペア。2は同じ「ホン」の音読みで連濁するときしないときがある例。4はともに音読み。3のみ「コ」が音読み,「と」が訓読みで,訓読み(和語)のときに連濁を起こしている。

問3)

同一ないしは類似の言語特徴が近接するのを嫌う原理を異化という。

問4)

1のみがライマンの法則についての説明。2,3はライマンの法則で説明がつ かない例外。人名以外にも「わさび醤油」など例外はある。4は「有声音=濁 音」とは限らないことに注意。

 

 



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